佐野先生が何をあせったというのかわからない。
すると、先生は顔を上げた。
その瞳がまるでにらむようで、ドキッとした。
「…おまえさぁ、わかってんの? 俺が助けなきゃどうなってたか。やっぱり隙ありすぎ」
佐野先生があたしを心配してくれてるのはよくわかる。
わかるんだけど、その言い方にカチンときて、あたしは言い返した。
「あたしが悪いわけでもないのに、何でそんな風に言われなきゃならないんですか!?
だいたい助けてもらわなくても大丈夫です!
自分のことは自分でどうにかします!!」
言ってから後悔する。
とっさに自分の口を手で押さえた。
だけど、もう遅い。
後の祭りだ。
佐野先生が急に立ち上がると、あたしの体をダンッと壁に押しつけた。
その衝撃で目をつぶった。