「私も楽しみにしてるから。1時間後にまた来るね」
それだけ言った彼女は、片手をヒラヒラさせ扉の外に消えていた。
「……はぁ」
勝手なんだから。
「ため息は幸せ逃げますよ。僕は美しい女性が大好きですから」
担当と言った人が優しく微笑んでた。
嗚呼、この人もか。そうよね、美人に勝るものなんてないものね。
この人が今どんな気持ちなのかは知らない。分かるのは、自分は美人でないこと。
今、きっとこの人に煙たがられてる。
そう感じていた。
どうして美容院というのは、こう大きな鏡でいっぱいなのよ。
自分のこの姿を見るのが嫌で美容院を今まで避けてきたというのに。
悲しくもこの状況を受け入れなければならない。