「祥子、此処で何買うの?」
「ちょっとね。これは良い買い物よ」
お洒落な彼女はやっぱり、シャンプーやトリートメントもワンランク上なのね。
変な関心を胸に抱いていると、一人の男性が私の前で足を止めた。茶色いエプロンを身に着けているのを見ると店員さんなのだろう。
「あの?」
「今日は宜しくお願いします。担当の宮越といいます」
「えっ、ちょ……待ってください。私はただ、彼女の付き合いで──」
「はい伺っております、土橋様からのご注文ですので。どうぞ」
目の前の店員さんにトビッキリの営業スマイルを浮かべられて、手招かれた。
「何を頼んだの?」
店員さんにではなく、受け付け前でリラックスをしている祥子に向かって聞いた。