「そうだ! 折角だし一緒に作ろうよ」

何を思ったのか、大きな瞳を一際大きく瞬き、チョコ作りの誘いをしてきた。


「え、……私はいいよ」

「何言っているの、一人で作るより二人で作るほうが楽しいでしょ」

まぁ、作るだけなら。


「よし、そうと決まったら二階の売り場に行こう。此処はパティシエが作ったものだけしかないからね」

半ば強引に手を引かれ、二階へ繋ぐ階段をイソイソと駆け上がった。一階の独特の甘い香り程ではないけど、ディスプレイには負けずとハートの風船の数々が出迎えてくれた。

でも、チョコを作るってカカオの実を潰してなんて……?


「安心して。チョコの原料からは作らないからさ」

……良かった。って、甘さ控えめのチョコをブレンド? それって市販のスーパーのチョコレートとそう変わらないよね。