みんな、可愛いな。

彩り豊かでハートや音符模様の包装紙、愛らしく飾られたリボン。こんな可愛いラッピングを見て、心が躍らない人はいないだろう。


「まぁ、出来上がっているのは見栄えは良いからね」

その言葉に頷ける。あげるあげないは別として、可愛いと想う気持ちはみんなと同じ。


「けどさ、バレンタインって愛の最大級の気持ちを伝えるものでしょ。だから──」

世界で一番な人には、デコレーションされたものではなく、自分が作ったたった一つの物をあげるのが通なんだって。

祥子はウインクをして言っていた。

えっ!? そんな凄いイベントなの?

唯、男の子にチョコレートをあげる。それだけじゃないの? 男の子はその数を競い合う、そんな小さなイベントではなかったの?