「それから、久野さん、なんてよそよそしいから、下の名前で呼んでよ」



「柊吾……くん」



「うん。ありがとう」



そう言って、彼は微かに笑った。



メガネの奥の、大きな目が細くなる。



――キュッ。



私のハートが、小さく音を立てた。