と、不意に私が尋ねると、彼はズルッとコケて見せた。



「本当に、俺のこと何にも知らないんだな」



そう言ってズレたメガネを片手で押さえた。



「ご、ごめんなさい」



「いいよ。――久野柊吾。愛ちゃんと同じ学年だよ。2年9組。タメだから、敬語なんて使わないで」



「はい。……うん」