「わぁ〜!きれ〜」

扉を開けると大理石の床に、吹き抜けの天井、そして豪華なシャンデリア。

さらには美術館にでもありそうな彫刻が置いてあった。

本当にここが学校なのか疑ってしまうくらい。

「あ、そう言えば理事長室どこだろう…?」

朝早いので、まだ誰も人がいない。

もちろん事務員も。

「どうしよう…」

途方に暮れていると「キミ」と声をかけられた。

「え…?」

声のした方を見てみると、とても顔立ちの整った俗に言うイケメンな男性がいた。

「天音華恋さんだよね?」

「あ、はい。そうですけど…」

「理事長にキミを部屋まで案内するよう頼まれているんだ」

「そうだったんですか。ありがとうございました!」

「さぁ、行こうか」

そう言って彼はあたしの手を掴んだ。

「えっ?」

「どうかした?」

「い、いえ…」

あまりにもその行動が自然すぎて、ついどもってしまった。

すると彼は気にする様子もなく理事長室へ歩を進めた。