あたしの1個上で、小さい時遊んでくれてお兄ちゃんみたいに慕ってた。
「もしかして、りっちゃん……先生になったの?」
そう聞いてみると、りっちゃんは笑顔で頷いた。
そして優しい瞳であたしを見下ろすと、首を傾げた。
「こうして顔合わせるのって10年ぶり?」
そう言って優しく微笑むりっちゃんの笑顔は少し大人っぽくはなったものの変わっていなくてホッとした。
確かに……。
あたしが小学6年の時に、りっちゃん中学上がると同時に引っ越しちゃったから……。
それくらい会ってなかったなぁ。
「そうだね」
微笑みながら答えると、りっちゃんはあたしを優しい目で見つめた。
「でも……全然わかんなかった。綺麗になったね」
「え?そんな事ないよー。りっちゃんこそ、格好よくなっちゃって分かんなかった」
あたしは笑顔で流すと、ハッとする。
後ろから感じるとてつもない威圧感……。
それに気づいてゆっくりと振り返ると、零がムッとした顔をしている。
するとりっちゃんはあたしの後ろに座っている零を見て口を開いた。
「もしかして……須藤と付き合ってるの?」
その言葉にあたしの顔に熱が集中していく。
照れながらも微笑んであたしは頷いた。
「うん」
そう言うとりっちゃんは、一瞬曇った顔を見せたけどすぐに笑顔を戻した。
「そうだったんだ」
「うんっ」
照れ笑いを隠せずに頷くと、りっちゃんはハッとしたように口を開いた。
「久しぶりの再会で忘れてた。ここ、今日は立ち入り禁止だから」
「あ、うん……」
「早く出といてね。じゃ、オレは見回りがあるから……」
そう言ってりっちゃんは、扉の外へ歩いて行く。
そしてチラッとあたし達の方に振り返ると、手を振った。
「じゃ、また今度。話しような」