あたしはティーカップと共に、目もギュッと瞑った。
目を開けていたら……何となく涙が出てきてしまいそうだったから。
するとあたしの変化に気付いた零は、あたしの顔を覗き込んできた。


「どうした?……顔色悪いけど」


「あ、何でもないっ……大丈夫だよ」


あたしは慌てて首を振って笑顔を見せた。
その笑顔を見て須藤は心配そうな顔を緩め、フッと微笑んだ。


「それ飲んだら……一緒に回る?」


え……。


「仕事、大丈夫なの?」


そう聞いてみると、零はテーブルに頬杖をつきながらニコッと笑った。


「午前中休みなしで働いたんだ。大丈夫だろ」


ニコッと笑う零。
いつもは格好いい顔だけど、笑うと幼く見える。
その笑顔を見て少し気持ちが和らいだあたしは、自然とフッと微笑んだ。


「じゃぁ……行きたい」


頷きながら答えると、零はニッと笑ってあたしの手をギュッと握って立ち上がる。
そしてゆっくりと歩き出し、教室を出た。