え!?
何でこっちに来るの!?
零はともかく、何であの子も来るの!?


内心慌てていると、女の子はあたしを見下ろしてニコッと微笑んだ。


「初めまして♪零の彼女さん。あたし、零の友達の鼎真寿美(カナエマスミ)っていいます」


そう言って可愛らしい笑顔を見せた。


「あ、あたしは……」


「聖菜さん!」


「え?」


自己紹介をしようとした直後、大きな高い声があたしの名前を呼んだ。
突然初対面の人に名前を呼ばれてキョトンとしていると、真寿美ちゃんは舌を出して笑った。


「あはは、ごめんなさい。零に前に聞いてたから」


「あ、そうなんだ……」


そう言いながらチラッと零を見上げると、零は腕を組んだまま目を瞑っている。
すると真寿美ちゃんは、あたしの顔を覗き込むようにして言った。


「聖菜さんって年上なんですよね?」


「え?ま、うん……」


つくり笑顔を浮かべて頷くと、真寿美ちゃんは目を輝かせた。


「何か格好いいですよね。聖菜さん、零に意地悪されてませんか?」


「えっ……」


ピクッと肩を揺らすと、真寿美ちゃんは零を見上げて口を開いた。


「零って結構Sなとこありますし……大丈夫ですか?」


何で……。
そんな事あなたに言われなきゃいけないの?


すると今まで黙っていた零が、真寿美ちゃんの頭をポンと叩く。
それに驚いたのかビクッと目を瞑ってから、再び零を見上げた真寿美ちゃんは頬を膨らませた。


「お前には関係ねぇだろ?」


「何よーぅ。あたしは聖菜さんが心配なだけだもん」