真っ赤な顔を隠す為、それから注がれる視線から逃れる為にあたしは俯いて歩く。
ゆっくりと歩いて行くと、零は1番奥にある席へとあたしを座らせた。
すると零はあたしの顔を覗き込むように身を屈めた。


「何が飲みたい?」


さっきと違って少し偉そうだけど、やっぱりいつもと違ってその表情は優しい。
その表情を見て真っ赤になっていたあたしはさらに赤くなる。


「……紅茶で」


あたしは俯きながら小さな声で呟く。
すると零はフッと微笑んだ。


「かしこまりました」


そう言ってニヤッと意地悪な笑みを浮かべる。
そしてゆっくりと去って行く姿を見て、あたしは真っ赤なまま睨んだ。


あれ……。
絶対面白がってる。
あたしの反応見て楽しんでる!!


悔しいけど、ムカつくけど。
どうしても納まらない心臓のドキドキ。
きっと、1℃位体温上がったよ。


そっと須藤を盗み見すると、間島くん達と話している。


……やっぱり、他の男子の中でも飛び抜けて格好いいなぁ。


頬杖をつきながらボーッと眺めた。


「零!!」


大きなその声にピクッと反応すると、可愛らしい女の子が零に歩み寄って行った。
またまた取り巻きの1人かとムッとしたけど……。
他の子とは違って、普通に話している零の姿を見て……。
あたしは少し胸がチクってした。


あの子……可愛いなぁ。
別に零にくっつくって事はしてないけど、すっごく仲良さそう。
零も笑ってるし……。
あの子、一体零とどういう関係なんだろう。
って、嫌だなぁ。
独占欲強い人みたいじゃん……こんなの。


そう思っていると、零と女の子がこっちに視線を向けて2人と目が合った。
ハッと我に返り女の子を見ると、女の子は可愛らしい笑顔を浮かべた。


……え?


よく分からなくてキョトンとしていると、2人があたしの方へ近づいて来た。