その時だった。
もう一度ため息をつこうとした瞬間、


「「「きゃああああぁ~~!!!!!!」」」


とてつもなく大きな悲鳴が廊下……いや、校舎中に響き渡った。


!!!?


あまりの大きな声にあたしと真弓はビクッ!!と肩を震わせた。


「な、何?」


「さぁ……奥から聞こえるよね?」


そう言って真弓は廊下の置くに視線を向ける。
そしてゆっくりとあたしに視線を戻すと口を開いた。


「行ってみる……?」


好奇心が湧いたから……。
真弓の提案にあたしは素直に頷いた。


目的地に近づけば近づくほど、女子の数が増えて進むのも難しい。
それでも何とか通り抜けると、あたしは目を見開いた。


そこには零のクラスの3-A。
そして……たくさんの女子の中心にいる、零の姿が見えた。


「うわ!須藤くん超格好いいじゃん!」


そう言って興奮している様子の真弓。
その姿は、ホントに漫画とかでいそうな執事みたいだった。


いつも以上に髪をワックスでなびかせ、おでこが出ている。
普段と違う大人っぽい笑顔。
そして似合いすぎるくらいに、似合ってる執事姿。


……格好よ過ぎる。


ボーッと見惚れていると、女子の集団が後ろから突進してきた。


「うわっ!」


肩がぶつかりよろめいて、あたしはムスッとしながら女子高生を睨んだ。
するとそんなあたしの睨みも気にせずに、女子高生は零の元へ歩み寄って行った。


「零~格好いい!!」


「ねぇ、この後一緒に回ろうよ」


そう言って1人の子は、馴れ馴れしく零の腕に自分の腕を絡めた。
すると零は、ムッとしながら無表情でその腕からサラッと逃れる。