⌒⌒Kiyona
\/side
零へのプレゼントも無事?渡し、夏休みも終えて……季節は秋になった。
「いやぁ~、高校の文化祭なんて何年ぶりだろ?」
テンションMAXの真弓は、大きく手を広げてピョンピョン飛び跳ねている。
その様子を一歩引いて見ていると、あたし達の前に大きな建物が見えてきた。
立派な門には、達筆な“乙女川高等学校”の文字。
門の向こうには、たくさんの人に、装飾された校舎が見える。
今日は、乙女川高の文化祭だ。
え?
何で社会人のあたし達が、ここにいるかって?
それは1週間前の出来事があったから……。
1週間前―――……。
仕事を終えて、真弓と会社を出た。
「間島くん!」
パァッと目を輝かせて大きな声でいきなり名前を呼ぶと、真弓は走って行く。
あたしはその大きな声にびっくりしながらも、ゆっくり真弓を目で追っていくと制服姿の2人組みが目に止まった。
そして間島くんに真弓は思い切り抱きつく。
「間島くぅーん!会いたかったよお」
「おれもだよー」
……え?
あたしは目を見開いた。
それは公共の場で、真弓と間島くんが抱き合っているからじゃなくて……。
いや、それはむしろ視界に入っていない。
だって……あたしの視線の先には、
「零!?」
相変わらず格好いい零が立っていたから。
1人残されていたあたしは、一際目立つ零の姿に目を見て大声で名前を呼んだ。
すると珍しく機嫌の良さそうな零が、ニコッと微笑んで、“よっ”って手を軽く上げている。
何で?
今日は会う約束してなかった筈……。
あたしは慌てて手ぐしで髪を整えていると、零はあたしの前まで歩いてきた。