「嫌なら、早く慣れればいいじゃん」


「そ……」


そんな言われたってえ……。


眉を下げて須藤を見上げると、ニヤッと笑った。


「それとも、須藤って呼んだらキスお預けの方がいい?」


なーんて言って、あたしを見下ろす。


……っく。


思わず赤くなってしまうあたし。
余裕の笑みを浮かべて見下ろしてくる須藤が悔しくてあたしはフイッと視線を逸らした。


「べ、別に……それでもいいわよ」


そう言ってふん!っと目を瞑ると、須藤はグイッとあたしの腰に腕を回して引き寄せる。
そのせいであたしは須藤に密着してしまう。
一気に近づいた須藤の顔を見て真っ赤になると、須藤はフッと笑った。


「ホントにキスできなくていいの?」


「っう……」


そこで……嫌!なんて言える人いますか?
あたしは、言えません!!!


「いいよ」


フイッと顔を逸らして答えると須藤は、ふーん……と興味なさそうな反応を見せた。
そしてあたしの顎を持ち上げて瞳を見つめてくる。


「そんな寂しい事言うなよ」


「なっ!」


あんたが言ったんでしょうがあぁ~~!!!


ギョッとしていると、須藤はチュッと音をたてて唇に吸い付いた。
一瞬のキスだったけど、あたしをドキドキさせるには十分で。
心臓がまた暴れだした。


「やっぱ俺が我慢できないから、お預けはなしな」


相変わらず余裕の笑みであたしを見下ろして、そう耳元で囁いた。


「人前でも……須藤って呼んだらキスすっから」


甘い声でそう囁かれたけど……。
人前でも!?
それは困る!すっごく困る!