「きーちゃん」


「…………」


何となく予想をしていた言葉に、あたしは須藤を睨んだ。


「あのさぁ……、物を聞いてるの」


例えば……。
ネックレスとか、ピアスとか……。
いつでも身に付けられる物とかさ?
いろいろあるじゃない。


無難なものだけど、やっぱりプレゼントって言ったらそういうものを浮かべる。
すると須藤は、あたしの頬にスラッと長い指で触れた。
思わず触れた指先にドキッとすると、須藤はフッと微笑んだ。


何っ!?
今の優しい笑顔……。
今まで見た笑顔の中で、1番いいかも。


なんて考えていると、須藤は小さく呟いた。


「だったらさ……」


「ん?」


珍しく聞き取りにくい小さな声に耳を傾けると、須藤は黙り込んでしまった。


どうしたんだろう……。
黙られると困るし。
途中で止められると、気になる。


「何?」


須藤の顔を覗き込み聞いてみると、須藤はフイッと視線を逸らした。


「何でもねぇ……」


はぁ!?
明らかにさっき、あたしに言う事あったよね?
何か言おうとしてたよね?


珍しくはっきり言わない須藤にムッとしつつ、あたしは眉間に皺を寄せて須藤の顔をさらに覗き込んだ。
すると須藤は、チラッとあたしを見て重い口を開いた。


「誕生日プレゼント……」


「うん」


もしかして、ほしいもの決まったのかな?