「そのまんま。胸でかいから、重いんかと…」

バシッ!

「変態っ!」

絹川くんの頭を思いっきり叩いてやる。

それでも彼はニヤニヤ笑っていた。

「…嘘。見えてね~から」

「…え?」

「あーでも言わなきゃ降りなかったろ?この木、危ねぇんだよ。でかいくせに、意外とモロい」

上を見上げ、切ない表情をする彼。

なによぉ…。知った風な事言って。

自分だってこの学校の事、あんまりよくわかってないくせに。

「わかった…。もう登らない。そろそろ、降ろしてくれる?」

授業中で誰も見ていないとはいえ…

これはまさかのお姫様抱っこ。

まさかこんな場所で、絹川くんにされるなんて思ってもみなかったよ。





絹川くんは私を抱きかかえたまま、フワリと優しい表情をする。


…え?

意外なその表情に、一瞬思考が止まる。





あれ?

絹川くん…だよね。