なんとか幹にまたがったものの、幹をぐるり一周。空と地上が逆転する。

今…わたし、木に足でぶら下がってます。


視界がひっくり返ったまま頭上から絹川くんの声が聞こえた。

「おっしゃ、落ちてこい」

何て事言うのよ~。

ここで足離したら…頭から落ちるってば。


ぜぇったい、自立で元の位置に戻るんだから。

腹筋に力を入れる。

んん…。意外とキビシイ。


「早くしろって…。まぁこのままでもオレは最高だけど」

絹川くんが伸ばした手が、私の長く垂れた髪にギリギリ触れる。

「最高…?」

「おー。また丸見え」

丸見え…?


スカートは幹に一緒に巻き込んだから、見えてるはずないんだ…

けどっ。


絹川くんのニヤけた視線は、私の胸元に注がれていた。

「すげー谷間…。重力ってすげぇな」


な…なっ…。