「オレがどうのってより、あんたは何でココで木登りよ」

絹川くん、私が登ってる木を揺する。

大きい木だから、びくともしないんだけどね。

「天気がいーから」

「まぁ、天気はいーわな…」

にこりと笑うその表情に、私の胸が一瞬高鳴った。

な…何?

今のトキメキ。

私のサボリを咎める事なく、絹川くんは木にもたれ、顔を上に向ける。

「オレ木登りできねーんだけど」

「…だから?」

「だから?ときたか。あんた、案外手強いな…」

絹川くんは顔に手をあて、苦笑してる。

手強いも何も、この場合何て言うわけ?

「…降りて来いよ」