そんな沈黙を打ち破るように響いた当麻くんの声は、

私の胸をさらに痛みつけた。



「さやの今までの恋愛がどーだったか知んねーケド。

オレは…あいつを好きだった事、忘れたくない」






なんで?

それって、

未練があるって事?




もう…わけがわかんなかった。

言葉だけででも、否定してくれたら

当麻くんをもう少し信じる事ができたのに。





今は、もう何も考えられないし、

当麻くんを信じる事もできなくなっていた。



「じゃあ、忘れなきゃいーでしょ?勝手にすればっ」



こんな態度とって、カワイクない女だって分かっていながら、もう自分を止める事はできなかった。

そのまま病室を飛び出すと、ずっと走り続けた。







あんな足だから、当麻くんが追いかけて来れるハズもないのに


もしかして、追いかけて来てくれるんじゃないかって、







…途中で振り返った私は、


それでも当麻くんに、少し期待していたんだと思う。