「な、何それっ」

やっぱり、捨てたくないんだ。




「未練がましくない?」

「知るかよ。教えて欲しいっつーから思ったままを言っただけ」

「まだ、好きなんだ?その人のコト」




怒りついでに、そんな言葉が口から飛び出してしまう。

だんだん最悪な方向に向かっているって分かってるのに、止められなかった。



「別に」

「別にって。当麻くん、私にはわかんないっ」

「あっそ。おまえさー、中学ん時彼氏いたんだろ。持っときたい物ってナイ?」

「ないよ。別れたら、全部捨てちゃうし・・・写真なんてなおさらだよ。連絡も取らないし、もぅ忘れる」

「ふーん」



当麻くんは天井を見つめたまま、しばらく黙っていた。

次は何を言われるんだろうって、ドキドキしながら言葉を待つ。

このドキドキは

いつもの切ないドキドキじゃなく

胸を突き刺すような、激しい痛みを伴っていた。