そして2日後、また負けた。
1万円。
やっぱり信じた私がバカだった。
 田村さんは、
「じゃあ、その情報は使わないでください
 ちょっとうちの攻略部の人間に相談してみますんで、電話があるまで待っていてください」
と言った。
  もう別に電話してこなくていいんですけど
 主人に内緒でトータル10万円も負けてしまった。
10万円もあったら、家族みんなで旅行もできるし、美味しいものも食べられるし、欲しかった薄型テレビだって、娘にピアノだって買ってあげれる。
  ホントにバカなことをしたなー
  もうパチンコも潮時だ
  やめよう

 次の日、犬の散歩をしていたらKJ企画から電話がかかってきた。
「工藤さん、はじめまして、攻略部の野崎です」
 それが彼からの初めての電話だった。
この時はまさか、こんなに胸が苦しくて恋焦がれる想いをする相手になるなんて夢にも思わなかった。
「工藤さん、営業の田村から、どうしても勝たせたい人がいるって聞いたんでお電話したんですけど…」
  なんか田村さん以上にダルそうな声
  ちょっとチンピラっぽいし、もしかしてこの会社、ヤクザと関係があるのかも…
 それが彼の声の第一印象だった。
 そして、話の内容はこうだった。
 今、私が出してもらっている情報は、本当は当たりがまったくこないレベルの情報だと言う。
そしてそれは、人を見るための審査なんだと。
会社が出した情報を誰にも漏らさず、報告やキャッシュバックをきちんとしてくれる人間かどうかを申し訳ないけど見させてもらったと。
「工藤さん、一つの攻略法の値段っていくらかわかりますか?」
「さあ、5万円くらいですか?」
「工藤さん、甘すぎます
 一つの攻略法を会社が買う値段って、だいたい300万から400万なんですよ」
  なんだ、一人が買う値段かと思ったのに、会社か
 私はもうパチンコのことはどうでもよくなっていたので、たいして興味も持たず、彼の話を聞き続けた。
最初の田村さんより話すこと話すこと約一時間。
  なんとも熱心な営業さんだな
  でもそろそろご飯も作らなきゃいけないし
  いつまで話すの?この人