「あのー、いつも一人一人こんなに一生懸命お話されるんですか?」
つい聞いてみた。
「あー工藤さん、主婦の方でしたね
 お時間取らせちゃってすみません
 大丈夫ですか?」
 すごく丁寧な言葉遣いで気も遣ってくれて、この営業所のトップの人。
もうひとつついでに聞いてみた。
「あのー、声がお若いみたいなんですけど
 おいくつなんですか?」
「あ、私ですか?
 私は32ですね」
  ひぇ~、主人と同い年
  その若さでトップなんてすごい
「主人と同い年です
 滝川さんってすごいですねー」
またまた口をついて出た。
「そう言えば、野崎も32ですよ
 工藤さん32歳に縁がありますね」
  ええ~??野崎さんも?
  もっと上かと思った
  だってすごいダルそうに話すから
 とりあえず、明日返事をする約束をして電話を切った。

 次の日、私は滝川さんに電話をし、
「あのー、よく考えたんですけど
 結論から言うと気持ちは変わらないのでお願いしますってことなんですけど…」
「…わかりました
 情報を守ることも攻略法も、そこまでたいして難しいことではないので
 じゃあ今すぐ情報を出せるかっていうと、そうじゃないんないんですよ
 本当は僕の権限で出してあげたいのは山々なんですけど
 永久会員の審査っていうのがありまして
 今から書類を作成して明日早速上層部に持って行って会議にかけてみます
 早ければ明日の夕方
 あさってにでも電話して大丈夫ですか?」
「ハイ」

 次の日、KJ企画の野崎さんに電話してみた。
「あのー、滝川さんが永久会員の審査に出してくれるそうなんですけど」
「え?本当ですか?
 よかったですねー!!
 普通滝川さんとお話できるだけでも大変なことなんですよ!」
と野崎さんはテンションが高かった。
その日は電話がかからず、気になる結果を聞くために次の日の夕方滝川さんに電話した。
「あ、工藤さん?
 今ちょうどそのことで会議してたんですけど
 永久会員…取れました
 やりましたね、工藤さん
 頑張っていきましょうね」
  え? ホントに?
 なんで通ったのかはわからなかったけど、とりあえず通ったことは本当にうれしい!
「それで50万円なんですけど…」