彼(月島雫)は



天才かもしれない。



あんなに綺麗で透き通った声を



私は聞いたことがない。



歌い終わった時には



私の涙腺は壊れたように止まらなくなっていた。



どんなに人気な歌手より


かっこよくて歌が上手い歌手より



歌を歌っている月島雫は魅力的だった。




女性シンガーの歌だけど笑



「ズーッ」



思いきり鼻を吸った。
こんなに泣きたくなったのはあの日以来かもしれない。


どうやら月島雫は泣いてることにきずいたらしい。



「わ...渡辺さん...」



月島雫は急に泣きだした私にびっくりしているようだ。


オロオロしている。



私はその姿が面白くて、もう泣き止んでいたけど、さらに泣く真似をした。




「ウゥゥゥ....」



「え?え?」



オロオロしながら月島雫は私に手を伸ばして来た。



私も月島雫を見た。



月島雫は顔を真っ赤にしながら私の頬に手をおいてきた。



そして



なにこの状況。



急に月島雫が私にふわっと覆いかぶさってきたかと思ったら



優しく抱きしめられた。



私はびっくりして突き放し



部屋を出た。



真冬なのに私の顔は真っ赤だった。



別に嫌だった訳ではない。


むしろドキドキしてしまった。