しようものなら、刺すつもりだろうけど

人に目撃されながら刺せる訳ない…。



薄暗い中に居るお婆さんはテレビ画面を向いたまま、コクコクとうなずいた。



「えぇ、いらっしゃい。」



少年に告げながら、お婆さんはソファーに座ったまま首をよじって、、私の方を見る。



「何も無いけれども、ゆっくりしていってねぇ。」



私が少年に突き付けられたナイフに、気付いていない様子のお婆さん。



確かに視線に入ってるのに、気づかないふりをしてるの?



「あら?居ないのかしら?」



返事の無い私達に首を傾げながら、辺りを見渡すお婆さん。



少年が照明のスイッチを入れるが

お婆さんはまだ私達が見えていない様子で、正反対の方向を向いていた。



「お婆さん、電気点けさせてもらいましたよ!」


少年の声に、お婆さんは再びこちらを振り返る。