私のわき腹に、あのナイフが突き付けられた。
私は再び声を出せない状況に陥り、大人しく靴を脱いで、濡れた靴下のまま廊下を歩く。
少年は私にナイフを突きつけたまま、洒落たリビングへの扉を開く。
目前には、大型テレビの青白い明かりに照らされた広いリビングが広がった。
「こんにちわ!おじゃましてます!」
明るく挨拶をする少年。
その爽やかな表情と声色は、私のもっている少年の印象からはかけ離れたもので
私はつい唖然としてしまった。
「あら…私また寝ちゃってたわ…」
しがれた声が返ってきて、リビングのソファーに有った影が、もそもそと動き始めた。
「おばあさん、実は友達も居るんだけど。部屋に上げても大丈夫ですか?」
ソファーの人物に問い掛ける少年は、私に向けたナイフを更に強く突き付ける。
もし私が否定