‐もう一度‐
桜は女友達といた。
彼氏は見当たらなかった。
オレは留学中一度だけ桜を思い出していた。
もし、留学して桜がオレをまだ知っていたら…いや、オレに声をかけてきたらもう一度桜に恋をしよう。
そう決めていた。
有り得ないし、確率も低かったから諦めがつくようにと考えた案だった。
しかし、会ってしまった。桜は段々オレ等の方に来た。
「り…陸!」
隆二が心配そうに呼んだ。桜が手の届きそうなところまで来た。
そして…
通り過ぎていった。
分かっていた。
オレなんかの事を覚えているわけがない。
だけど予想以上に桜は綺麗になっていた。
オレは手をギュッと握りしめた。
「り…く?」
後ろから女の声がした。
振り返ると、桜だった。
「陸だよね?」
「覚えてたの?」
「当たり前でしょ!!あの日からずっと心配してたんだから」
「悪い」
オレが謝ったら桜が大きな声で
「ごめんなさい!!」
「えっ!?」
オレは凄くビックリした。
「私…彼氏がいる事秘密にするつもりはなかったの」      桜は急に泣き出した。
オレ等は場所を変えて2人で話すことにした。
「落ち着いた?」
「うん!ごめんね」
「いいよ」
桜はゆっくり話し始めた。   桜によると、その彼氏とは上手くいかず別れようと思った。
だけど、何時もはぐらかされていた。
そんな時オレに会った。
オレといると元気がわいたそうだ。
今も別れられずにいて、何時も辛いらしい。
オレはその話しを聞いてもう一度桜に恋をしようと思った。