息を吐いてもおさまらない震える体が、葛城の動揺をよく表していた。
そして来栖の腕がだらりと弛緩したのを見て漸く、自分が如何に危険なことに身を投じていたか気付いた。
今度は先程の身震いとは違う、もっと本能的なところから震えが来る。
サイバノイドの腕力に立ち向かうなんて、素手で虎を止めるようなものだ。
来栖が留まってくれて良かったと心底思う。
止まったのはきっと、ロボット三原則が組み込まれているからであろう。
人へ危害を加えない、命令には服従する、そして自己防衛。
葛城の制止を命令と捉え、カインの首から手を離したに違いない。