これが経験の吸収による産物だとでもいうのだろうか。

 これがヒトの内面だと。


 サイバノイドもバイオノイドも、良く言えば無垢な存在だったはずなのだ。
そして思考回路はヒトを模して造られ、よりヒトに近付くようにと研究に研究を重ねて来た。

 その結果が、これなのか。


 茫然と佇む葛城を取り残し、来栖とカインは段々言い争いだけではとどまらなくなってきていた。


 ガ、という潰れた声帯を震わせた息の音に、葛城はハッと意識を掴んだ。

 目の前では、苦しそうに顔を歪ませるカインと、そのカインの首に手を伸ばした来栖の揉み合いが繰り広げられようとしていた。