「何だと?俺はお前の産みの親だぞ」

「それはいい加減聞きあきました。まぁ、そのくらいしか自慢出来ることがないから仕方ないですね、野蛮なお父さん」


 悪夢を見ているのだと思った。

 罵しり返す来栖の形相は凄まじく、それは怒り狂った人間そのもので、普段の彼からは想像も出来ないものだ。
サイバノイドがこんなにも感情を剥き出しにするケースなんて、葛城は見たことも、聞いたことすらもなかった。

 ヒトですら、こんなにも我を無くすことは稀だろう。

 一体何が来栖をそんな風に突き動かしているのか。
何故、カインを罵るのか。


 対する、来栖をあしらうカインの瞳には明らかに侮蔑の色が浮かび、まるで冷気が渦巻く中心にいるかのようだった。

 唇にはうっすらと笑みすら浮かび、それは冷笑と称するになんら躊躇いのないもので、彼は来栖を見下しているのだと葛城は思い知らされた。