来栖はしばらく考え込んだあと、意を決したかのように真摯な瞳で口を開いた。

「実は……『カイン』のことなんですが」

「カイン?」

 思っても見なかった話題に、葛城は少しだけ眉をひそめた。

 試作品のカインはその後、来栖と同じ研究室付きとなり、サイバノイドやバイオノイドの研究にあたっていたはずだ。


 来栖の真剣な面持ちが、溢れる激情を抑えているようにも見え、葛城を不安が襲う。


 研究室で何かあったのだろうか。それとも二人の間に何かあったのだろうか。

 そう思っていると、来栖の後ろからノックの音がした。