「…ここ、は…?」
「大丈夫!?」
白だけだった色彩がぼんやりと戻ってくる。
形が見えた所であたしは目を見開いた。
「誰…?」
「はじめまして。私はビーバー」
茶色いぼさぼさした髪のおじさん。
ビーバー…?
固い、乾いた地面。
「きみは?」
「あたしは…アリスよ」
「大丈夫かい?
よく “ 涙の川 ” から戻って来れたな」
涙の川…?
ぼんやりとおじさんの顔を見つめるアリスにおじさんは眉をひそめた。
「あれ?きみはここの住人じゃないね?知らないのかい?」
おじさんの後ろからたくさん人が覗いているのが見えた。
「はい…」
自分の声じゃないみたい。
すごく掠れてる。
喉が痛いわ…
きっと飲んでしまったんだわ。
…あれ?
「辛い…」
「涙だからね」
顔を上げる。
「涙でできているの?」