で。

 今に至るわけなんだけど。

「…………」

「…………」

「……まぁ、なんだ」

「…………」

「……ある意味非常に出来のいい作品だとは思うぞ」

「……うぅ」

 マスター指導のもと、確かにわたしは“トリュフ”を作っていたはずだった。

 ほら、あの丸っこい形したやつ。

 なのに、

「秋ならぴったりなんだろうけどなぁ」

 なぜか出来上がったのは“いがぐり”で。

「あ、味さえよければいいですよね?」

 そうだ。

 ようは見た目じゃない。

 中身で勝負よ!

「はい! じゃあどうぞ!!」

「えっ!? お、おれが試食するのか?」

「だって、男性好みの味になってるか確かめなきゃなんで」

「そ、そうか……」

 そんなあからさまに嫌な顔をしなくてもいいと思います。

 でもそこはさすがマスター。

 思い切って手を伸ばし──


  ザクッ


「うぉぁっ!?」

「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」

 たくましくごつごつしたマスターの大きな手よりも尚、その“いが”はたくましかったらしい。

 触れて折れるどころか、思い切って伸ばされてきたその手にそのまま“刺さった”のだ。

 う、うそでしょ?

「……まゆみくん」

「…………」

「……こりゃだめだ」

「……う、うぅぅぅ」