…母ちゃんの精神状態は、おかしかった。

母ちゃんは俺の受話器をとっさに取って頭にぶつけたのだ。

「…保、何してるの。」




…………目がうつろだ。

「…電話してただけだよ。」
そういうと母ちゃんは、よたよたと座りこんだ。

「誰と?」

「あゆむとだよ。」

すると、母ちゃんの顔色が変わった。

「あゆむ…ちゃん…………?」

母ちゃんはもちろん、あゆむの母ちゃんと仲が良かったから、分かるはずだ。

俺は微かに嫌な予感を感じていた。