「プロ根性だよ」

家に帰ると何故か居間に祥太郎がいて、ママと光さんと3人で楽しそうに話をしていた。

祥太郎は続けて

「それが仕事、だからね。
責任がそこには掛かってくるし、大変だけど…
でもそれをするからお金を貰える。
お客から信頼を得ないとお金は得られない。
あとは…やり甲斐だな」

そう言ってあたしの頭を撫でた。

「…お前もさ、高校を卒業したら店で働くんだろ?
だったら…真っ先に仕事に対してやり甲斐を見つけろ。
…そして早く一人前の整備士になって俺達を助けてくれ」

最後は自分が楽したいという祥太郎の思惑もあるかもしれない。

あたしは内心笑いそうになるのを堪えて頷いた。

「なーんか…」

光さんは少し不満そうにして

「むっちゃん、楽しそう」

ちらっとあたしを見ると

「バイト中に好きな人でも出来たんか〜?」

あたしは後ろに倒れそうになった。

「そんな訳ない」

あたしは首を左右にブンブン振ると

「ただ…あんな楽しそうに仕事をするのが羨ましいだけ。
あたしも出来るかな?」

ママと祥太郎と光さんは顔を見合わせる。

ママが口を開く。

「お店って割と和気あいあいよ?
充実するかどうかはむっちゃん次第ね」