「むっちゃんのスポンサーって凄いよね〜」

これまた夕食の凄い懐石を目の前に悠斗が呟く。

「元々は祥太郎のスポンサーだよ」

あたしは必死に食べながら返す。

…だって。

家じゃ、おかず取り合いのバトルの毎日だから、食べる事には必死だ。

ここは家じゃないけれど、ついつい取られるという心理が働く。

「むっちゃん、がっつき過ぎ」

悠斗は苦笑いをしながら

「それでも凄いよねー
普通はこんな事、出来ないよ」

「うん、そうだね。
元々はパパのお店のお客さんなんだけど…凄いよねえ」

「まるで他人事」

リコはそう言って笑った。

「だって…あまり実感はない」

あたしは箸を置いた。

「やっぱり塩野さんは祥太郎のスポンサーのイメージが強いし…あたしはオマケで、みたいな感覚が抜けない」

あたしは頷く。

だってまだまだなあたしにここまでしてくれると…逆に戸惑う。

「むっちゃんは…」

黙っていたリコが口を開く。

「不可能を可能にしてくれるような…何かがあると思うのよね」

あたしは顔を上げた。

「だから塩野さんも色々してくれるんじゃないかな?
…むっちゃんを見ていると私はお金は出せないけど、応援したくなるの」