「塩野さん、仕事は?」

車であちこち連れていってくれる塩野さんに聞くと

「出張、という事になってる」

「どこに?」

奈々が突っ込むと

「ここに」

そう言ってクスクス笑う塩野さん。

「井上さんにバレたら、撲殺されますよ?」

思わずあたしが言うと

「ぽっくんにバレないようにやってるよ」

井上さんは塩野さんがあたしに絡むと異常な嫉妬心を見せる。

「でも、どうして今回、僕らまで招待してくださったのですか?」

悠斗の発言に塩野さんは微笑んで

「そりゃむっちゃんの友達だからだよ〜。
みんな卒業したら中々会えなくなるし、どうせなら最後に良い思い出作りに協力しようかと。
とびきりなサービスを受けてこんな世界もあるんだなー、なんて思ってくれたらいいかな、なんて」

塩野さんはそう言うと車を停めた。

「中々良いだろー?」

目の前に広がるのは今まで見た事がないくらい澄んだ湖だった。

「おお!スゲー!!」

国分くんが目を輝かせてリコと手を取り合っていた。



「大人になるまでに一回くらいはこういうのを見ておかないとね〜」

塩野さんはそう言ってあたしの肩をポン、と叩いた。

「これから先は本当に自分の実力を問われるからね…
頑張れよ!!
とりあえず今回は高校卒業おめでとうのプレゼント」