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集落の外に出てみて初めて気がついたことがあった。

自分がいた集落がいかに平和なところだったかということだ。

この世界には、人間や動物といった生き物以外の何者かが生息している。

私たちはそれを妖(あやかし)と呼んだ。

それらは普段、めったなことでは人の前に姿を現すことがない。

彼らは彼らなりの領分を持っており、私たち人間とうまく均衡を保ちながら長い間生きてきたのだ。

しかし、一歩集落を出た瞬間から、彼らは私に狙いを定めたように襲ってきた。

いったい今この世界で何が起こっているのか。