アキ様が側にくると自然とその場が明るくなり誰もが幸せな気分になった。

誰もがアキ様を今まで以上に頼りにするようになってきた。

そんなアキ様でもやはり、トヨといる時は以前のアキ様の顔を覗かせていた。

唯一安心できるのがトヨという少女の側だけのように見え、少し寂しくも悲しくもあった。

いまや、太陽のような存在になったアキ様とは対照的に、トヨという少女は月のようにひっそりと神秘的な雰囲気を纏っていた。

二人が成長していく過程をずっと側で見てきた私だからいえることだが、この二人は目に見えない強い糸で結ばれており、誰にもそれは切ることができないだろうという事だ。

たとえ、どんな困難な状況に陥っても二人の関係が崩れることはないだろう。

しかし、その困難な状況がアキ様とトヨが十のときに訪れた。