アキ様と言えば、今までがどこか冷めた感じだった性格が、あの事件を境に子供らしさを前面に出すようになってきた。

とりわけ、いたずらが大好きでいつも私たちはアキ様に振り回されていた。

ただ、アキ様の無邪気な笑顔を見ると怒る気も失せ、最後には一緒になって楽しんでしまう始末だ。

以前のように返答に困るような質問を投げかけてくることもなくなり、普通の少年と変わりない態度に周囲のものは安堵した。

だが、一点変わらないというより以前にもまして熱心になったのはカムナキの修行に関してだった。

どうやらこっそりと一人でも鍛錬をしているようで、どのような鍛錬を行っているのかわからないが生傷が絶えない毎日を送っていた。

私は、そんなアキ様の変化に違和感を覚えながらも、これはアキ様なりにあの事件を乗り越えたのだと安心さえしていた。

――しかし、実際は違った。