「もう、アキは大丈夫です」

トヨはそれだけ言うと静かに去っていった。

それでも、部屋の中に入るのは躊躇われた。

まだアキ様は眠ったままの状態かもしれない。

変わらぬその姿を見たら、私は更なる絶望に落とされるのではないか。

そんな不安が頭を過ぎる。

しかし、そう思ったのも一瞬のこと。

次の瞬間には抑えきれず思わず部屋の中に飛び込んでいた。

部屋の中で私を迎えたのは、いつも通りに戻ったように見えるアキ様だった。

寝床の上にしっかりと上体を起こし、こちらを澄んだ瞳で見つめている。