「ぶー!!」


吹き出す。


弥月のボードから
落ちる姿は
何回見ても見飽きない!


「弥月ー。大丈夫ー?」


笑いをこらえるために
口元を押さえながら
弥月に近づいていく。


ザバ!!


勢いよく海面から
姿を現した弥月に、
そのままの勢いで
思い切り腕をつかまれる。


「な、何?」

「お前…。」


怒られると思った。

笑うな!って
照れ隠しに
水でもかけられると
思ってた。


でも
違う。


弥月の目は
本気の目だった。


何?
怒ってる?

…違う。

なんか
…驚いてる…?


「や、弥月。どうしたの?どっか痛めたの?」


弥月の真剣な目を
覗き込む。

その瞬間、
弥月はハッと我に返った
かのように
辺りを見回し、

私の肩に置かれた手を
…いや、思い切りつかんでた
手をぱっと離した。


「わ、悪い。」

「いいけど、どうかした?」


弥月の顔を
さらに覗き込む。


「いや、なんでもない…。」

「ふーん…。」


気になる。


けど、

弥月が何でもないって
言い張るんだし、

弥月が話したい時に
話してもらえばいいや!



空を見上げる。

真っ暗だ。


けど、
真っ暗だからこそ、
星がよく見える。


月もくっきりして見える。


「昼は地。夜は空が主役なんだなぁ…。」


ぼそりと呟き、
海にもぐる。


海の中は真っ暗で、
海の外からでは
あんなにはっきり見えた月も、

海の中からは
ぼんやりと微かに
見える程度だった。