しばらくすると、

海に揺られながら
かなり沖のほうへと
来ていた。


足先に
何かが当たる。

もちろん
俺のボード。


ーおかえりー


そう聞こえた
気がした。


ボードの上に
横になり、
日が完全に
沈むのを待つ。


日が沈んでからの
サーフィンは
久しぶりだな…。


目を瞑る。


沙鵺の顔が
瞼の裏に見えた。


沙鵺…


今朝は
ほとんど
サーフィン
出来なかったけど…

あいつを
追いかけてた時、

すごく
充実してたな…。


久しぶりに
本気で海を
駆け抜けた。

あいつの
サーフィンは
意外性の連続で、

右に行くかと
思えば左に。

左に行くかと
思えば右に。

まるで
つかめなかった。


あいつと
いればいるほど、

もっとあいつを
知りたくなる。

もっとあいつが
大切になる。


もっと
もっと
もっと…!!







欲張りに
なったな…。


人に執着を
持たなかった
この俺が…。


バカみたいに
あいつの事を
考えている…。



本当…

バカみたいに…。