「うわっ。」


派手に
ひっくり返る。


「ぷー!!弥月ださー!!あははは!!」


海上で
俺の姿を見て
爆笑している
沙鵺の声が響く。


「お前に言われたかねーよ。」


濡れた髪を
後ろにかき上げて
沙鵺をにらみつける。


「な!ひどい!私はちゃんとボードに乗れたもん。
1秒も立ってられない弥月のがダサいですー。」

「お前な。安定感が違うだろうが。漂流してたくせに偉そうに。」

「う…まぁ。」


図星…。

見事に
漂流してました…。


それにしても
弥月のへたくそな
サーフィン。

かなりレアかも。

面白かったなー。


またやらせよっと。


「それにしても…。こんなんでよく波に乗れるな。」


まじまじと
私のボードを眺めて
言う。


「それはこっちのセリフだよ。あんなに重くて長いの。よく操れるね。」

「お前も慣れれば乗れるよ。」

「そうかな?!そうは思えない…。」

「筋力が必要かもな。」


筋力…ねぇ…。


まぁ、
あれを乗りこなせたら
楽しいんだろうな。




…あ。




「いいこと思いついたー!!」




…。




また沙鵺は
何を
思いついちゃったんだか。



ひとつ溜息をつく。


もうすぐ
七時になる。

体内時計が
知らせる。



…そろそろ
あがるかな。