ちょ、ちょっと
弥月！！

何よ。

私に
押し付けるなんて！


…何て説明したら
いいのか、

分からない。


“大切”


違う。

そんな事言ったら
桜も美奈も
大切だもん。


“友達”


絶対違う。

友達というものを
安い存在と
感じているわけでは
ないんだけど…

そんなに
小さい存在じゃ
絶対無い！！


“特別”


…

まぁ、これが
一番妥当な
表現かな。


…いや、
待てよ。


でも、
一番怪しまれる
表現でも
あるよなぁ。


どう言えば
いいのかな？


「うーん…。」

「沙、沙鵺。」

「…あ。な、何？」


かなり真剣に
悩んでしまって
いたらしい。

美奈が険しい
顔をして、
私の顔を
覗き込んでいた。


「大丈夫？」

「ごめんごめん。聞いてなかった。何？」

「ねぇ。そんなにその人との関係って複雑なの？」

「え？！いや、そういうわけじゃないんだけど…。」

「沙鵺がそんなに悩むって、あんまりないから凄く意外。
いつも即決する方だよね。」

「ま、まぁ。たまには考え込んだりもするよ。」


そう口では
言っていたけれど、

心臓は素直に
反応して、

スピードをあげて
脈を打った。