「そうか!この子なんだ!!」

「え?!まじ?!この子?!朝言ってたやつだよね?まじ?!」

正と敏が同時に叫ぶ。


正は沙鵺を
見定めるかのように
じっと見て、

「ふーん…。この子か…。沙鵺ちゃんっていうんだ?」

静かに沙鵺に
話しかけた。


「あ…はい。」


正がくるりと
俺の方に
向き直る。

「聞いてないんですけどー。」

「え?」

「女の子だなんて、聞いてないんですけどー。」

「あ…そうだったか?」

「うん。聞いてない。」



「え?!ってか本当にびっくりなんだけど!!」

俺と正の
静かな会話を
ぶち破り、

敏が
興奮気味に
俺の肩を
叩いてくる。

「痛ぇな。」

「だって弥月だよ?!正なら驚かないけど。」

「何だよ、それ。」

正が
敏の発言に
食いつく。


そんな言い合いに
痺れを切らし、

「で、うちの沙鵺とは、どのようなご関係で?」

美奈という子が
会話にわって
入った。


「そうだ。早く話せ。」


敏も便乗する。


「いや…、どうもこうも…。別にただのサーフィン仲間だよ。」

「沙鵺の話じゃ、そんな軽い関係に思えないんだけど。」




はぁ。



沙鵺。

一体俺のこと
なんて話したんだよ。


確かに
特別な存在だけど、

口でなんて
説明できない。






第一、
面倒くさい。






「何でも無いよ。…あとは、そいつから聞いてくれ。」


「ちょ!弥月!!」





諦めた俺を
沙鵺が睨む。


そんな顔しても

俺には
説明できない。


お前が
俺にとって
どんな存在なのか。


自分でも
感じたことが
なかったんだ。



お前に出会うまで。



ここまで強い思いは、

初めてなんだ。




説明なんか
できない。









お前を失いたくない。









本当に今は、

それしか

分からないんだ。