私の風

「え？」





動揺する。


自分で
人に名前を
聞いたのに、
自分が聞かれると
思っていなかった。



「名前。」



はっきりと
目を見て
聞いてくる。




「あ…あぁ。わ、私？私は沙鵺(さや)。よろしくね！」










なんだ…？

なぜ今驚く事が
あったんだろう。


ただ
俺は引く気は
無かった。

名前を
どうしても
知りたかった。

ここまで
人に興味を
抱いたのは
初めてだ。

それを
みすみす、

相手の都合で
チャンスを
失うわけには
いかない。



…今の反応は
何だったんだろう。

…今何を
思っているんだろう。

…今…


彼女に興味が
尽きない。


不思議だ。



話しかける。



「おい。今何を考えてたんだ？」
「ん？…まぁあなたの事とか…空の事とか？」







…空…？







「…あ！それより名前呼び捨てで呼んでもいい？」