「名前はなんていうの?」
ふいに
聞かれた。
「…弥月(やつき)。」
ためらい無く
名前を答えている
自分がいた。
戸惑う。
俺は昔から、
人と深い
関わりをもつのが
嫌いだった。
来る者拒まず、
去る者追わず。
そうして
生きて来た。
だから
知り合いは
たくさんいるが、
友人と
呼べる人は
おそらく
いない。
自分からは、
極力名乗らない。
もし
名乗られても、
次の瞬間
忘れる。
そう。
いつもの俺なら、
名前を
聞かれた瞬間、
…しまった…
と思い、
名前を言うのを
ためらっていた
はずだ。
なのに…
今、
彼女の名前を
知りたい、
と思う自分がいる。
知りたい。
知って、
その後どうするのか。
それはわからない。
今まで
他人の名前を
必要と
しなかったから、
名前の価値が
分からない。
けれど、
心の奥が
ざわめく。
知りたい。
知りたい。
知りたい。
…
「…お前は?」
ふいに
聞かれた。
「…弥月(やつき)。」
ためらい無く
名前を答えている
自分がいた。
戸惑う。
俺は昔から、
人と深い
関わりをもつのが
嫌いだった。
来る者拒まず、
去る者追わず。
そうして
生きて来た。
だから
知り合いは
たくさんいるが、
友人と
呼べる人は
おそらく
いない。
自分からは、
極力名乗らない。
もし
名乗られても、
次の瞬間
忘れる。
そう。
いつもの俺なら、
名前を
聞かれた瞬間、
…しまった…
と思い、
名前を言うのを
ためらっていた
はずだ。
なのに…
今、
彼女の名前を
知りたい、
と思う自分がいる。
知りたい。
知って、
その後どうするのか。
それはわからない。
今まで
他人の名前を
必要と
しなかったから、
名前の価値が
分からない。
けれど、
心の奥が
ざわめく。
知りたい。
知りたい。
知りたい。
…
「…お前は?」