俺の反応が
薄いにもかかわらず、

女の子は
俺の方へ、
あっさり
近付いて来た。


「それを見る限り、サーフィンやるんだよね？」


俺の
サーフボードを
見ながら、
にこりと笑う。

全く
予想しなかった
彼女の
唐突な質問に、


怒りが消え、
笑いが込み上げる。


「まぁな。海の真ん中で、サーフボード持ってサーフィンやらないやつは、あんまりいないだろうな。」


一瞬、
驚いたように
目を開け、

「だねっ。」

と、
今度は
愛想笑いではない、
笑みを浮かべる。





あ。
いいな。





素の笑顔を
見た瞬間、


心が
揺さぶられた。






彼女自身が
溢れている。


そんな
笑顔だった。






サーファーとして
だけじゃない。






一人の
人間として、

彼女に
嫉妬に似た
感情を抱いた。