長い坂道を下り

長い林が
途切れたところに

14年前から私の家がある。

冷酷で、
息を吸うのが苦しいぐらい激しい、
かわいた風が吹く。

ここは只木(ただき)という町。

人口は1500といない。

けれど、

この町がなければ

今の私は生まれていない。


上から降りてきた風を、

体全体で吸う。

甘みがうすれ酸味が出てきた

果実を食べるような、

そんな感覚におそわれる。

この風を受けながら

今まで成長してきた。

そして多くの事を

この町と風に学んだ。